私が担当した患者様で忘れられない方がいます。

歩く練習の時は足が前に出ず、体が重そうで、少し歩いただけでしんどくなってやめてしまう方でした。
歩く意欲も高いし、能力もあるはずなのに、思うように歩けないのは何故か?かなり悩みました。

ある日、このような提案をしました。

「向かいの料理屋さんに行って、おかみさんの顔を見に行きましょう」

すると、今までの動きが嘘のようにどんどん足が進み、這ってでも階段を上り、ふらふらになりながらも料理屋に到着しました。
おかみさんの顔を見た時の嬉しそうな顔が今も目に焼き付いています。

人が元気になるためには、「会いたい人」「行きたい場所」など、「目標」が大切だと痛烈に気づかされた経験でした。

そして、リハビリテーションは、人生の「よろこび」を味わうためにあるものであり、技術の向上ばかりに目が向いていた自分の姿勢を見直すきっかけとなりました。

さらに経験を積んでいくなかで、その重要さを気づいたのはその方が住んでいる「地域」です。
ご近所さん同士のお喋りや集まりが、その方の生きる力になっていることを知りました。

「リハビリテーションデイサービスよろこび広場」を、動ける「よろこび」、仲間と語らう「よろこび」、安心して過ごせる「よろこび」 等、たくさんの「よろこび」が集まる場に。

何かあれば気軽に相談にきてもらえるような、地域の頼れる場にしていきたいと思います。

リハビリテーションデイサービス よろこび広場
所長・作業療法士
鍛治 秀生

鍛治 秀生 プロフィール

2001年作業療法士(医療系国家資格)免許取得。2011年までの10年間はリハビリテーション病院にて主に脳血管障害後遺症の方の機能回復に携わる。その間、その後8年は大阪、奈良で訪問リハビリテーションに勤務し、脳血管障害後遺症、整形外科疾患、神経難病など様々な疾患をお持ちの方の機能回復やADL向上に向けて取り組む。
近年は、地域の集いの場や小学校へ出向いての講座、自立支援会議の助言者としての参加等、積極的に地域に出向いた活動を行う。プライベートでも自身が住む地域のまちづくり団体に参加、地域住民が集う場創りを行っている。

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